執筆:ξ˚⊿˚)ξただのぎょー
参加・協力:慶應義塾大学ファンタジー研究会会員(こぶ、清水奈々佳、たられば、西澤碧海)
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◆戦闘シーン翌朝である。天は曇り、重苦しい雲が低く垂れこめるも雨はなし。
オークどもの後を追うため、君たちは10名ばかりの野伏らと共に出発した。東へと進む中で、野伏らの数は増えていく。他の隠れ家から合流したのであろうか。
暗闇を見通す目と、豚のように効く鼻を持つオークらは夜の闇の中でも進軍することが可能だ。だが一方で太陽の光の下では疲弊する。奴らの姿を見た時、奴らは林の中で身を休めていた。
奇襲の好機である。野伏らは声を放つこともなく身振りで意思を疎通すると散開し、オークを包囲する配置についた。
君たちの背後からそっとヨレスが耳打ちする。
「大将首を狙うならこっちだ」
【奇襲判定】
LM:では戦闘となります。今回は接敵の前に奇襲攻撃ができるかどうかの〈隠密〉判定をしていただきます。カンパニーが敵を奇襲する場合、参加する全員の〈隠密〉判定が成功している時に奇襲攻撃が成功となります。
ルール説明:9
戦闘開始時に、どちらかが敵に気付いていない可能性がある場合、奇襲判定が発生します。プレイヤーカンパニーが奇襲を行える場合、奇襲に参加する全員が〈隠密〉判定をして成功すると、敵は開幕射撃と1ラウンド目の行動を行えなくなります。
フィンドール:「ローワンとロイドは左から近づくんだ。私とイルムルは右から近づく。挟み撃ちの形にしよう。敵を逃がすわけにはいかない」
イルムル:「エルフの言うことは聞きたくないが、ここは仕方ない」
LM:君たちの側にいるヨレスは「大丈夫かこいつら……」という顔をしています。
イルムル:では、判定ダイスしか振れない私が先に行かせていただきます。他の人の成功度アイコン頼みで! ガンダルフのルーンが出てくれれば……残念、失敗です。
フィンドール:私が次に振ります。役に立つアイテムの『エルフのマント』を使いこっそり近づきます。〈隠密〉判定成功、成功度アイコンも1個あるので一人分の失敗を打ち消せます。組んでるからちょうど良いですね。
イルムル:自分は忍び寄るのは下手なので、大股でごそごそ、がさがさと近づいて行こうとしているところを……。
フィンドール:「まぁ待て、そんな風に近づいていったらバレるだろう。このマントの中に入ると良い」
イルムル:と言われて渋々入るような感じですね。
ローワン:えっと、先にロイドに振ってもらって、成功度アイコンが出るかどうかで希望を消費するかを決めます。
ロイド:「ローワン、やっぱり見張りが居ない所から近づいていった方が良いですって! ほらこっち」
ローワン:「それはそうなんだけど。左翼から近づいていって、見張りが居なければいいんだよな」という気分。
ロイド:「でもあそこに忍べこめそうな獣道がありますよ。あそこから行ったらバレないんじゃないですか?」
ローワン:「なるほど。じゃあ、あそこから突撃してみるか」
ロイド:はい。ということで、忍び込むための道を見つけることがとても上手だったということで、忍びの技の特徴に当てはまってなかったでしょうか?
LM:良いでしょう。
ロイド:ありがとうございます。では〈隠密〉は有利で判定は成功、成功度アイコンも1個あります。
ローワン:では、ロイドの成功度アイコンをあてにして、振ります! 失敗です!
ロイド:「駄目ですローワン! そっちにいったら!」
ローワン:「あ、ごめん。こっちじゃないのか」
ロイド:「僕が先にこっちを見てくるんで、待っていてください」
ローワン:すごい、本当に戦闘慣れしてない。隠密とかやったことないです、みたいな顔してる。
LM:では君たちは奇襲攻撃に成功しました。他に野伏たちも周りで一緒に隠密をしており、合図をこっそり出して音もなく矢などを放つ……という感じの奇襲ですね。現在ボスは奥にいる扱いで、今回の戦闘は少し特殊で後で顔見せする感じです。君たちが開幕射撃で攻撃できる相手は、折れ曲がった剣を持った前衛っぽいオーク4体と、その後ろにいる弓を持った後衛っぽいオーク2体になります。

フィンドール:人数は不利。まぁ、開幕4人落とせば良い。
ロイド:とんでもないこと言いますね。えーっと、弓打てるのは3人で、ローワンは石を投げる、と。
LM:では、ターゲットを選択してください。奇襲攻撃のため撃ち返されはしません。
ロイド:弓持ちからやりますか。遠距離は潰しておきたい。
フィンドール:うーん、前衛の方が打点が高そうなので、先に倒したいですかね。
LM:見た感じ前衛の方がガタイは良さそうですね。
ロイド:なるほど、前衛の方からやりましょうか。
フィンドール:「そうだな、見た所前にいる奴らの方が、凶暴そうだ、あいつらを先に倒すのが……吉……!」では撃ちます。ということで、策士っぽいですか?
LM:なるほど。まぁ良いと思います。
フィンドール:高揚状態で、希望を1点消費して技量ダイスを2個得ます。能力はどうなっていますか?
LM:前衛は全員、回避修正値は+1です。
フィンドール:では攻撃します。判定は成功して、ダメージは4点。
LM/オーク:ピシッと刺さって。撃たれたオークは「敵だー! 敵襲だー!」と叫ぶ。
フィンドール:「くっ、一撃では仕留められなかったか」
ロイド:じゃあ、慌ててロイドも弓を打ちます。特に希望は消費せず、判定ダイス1個と技量ダイス1個を振ります。出ないものと思ってまーす。出目が1足りない……!
イルムル:では、自分も弓を打ちます。希望は消費しなくて良いかな、まだ使う所じゃない。フィンドールからの指図を「うるさいなぁ」と思いつつ放ちます。回避修正値で外れます……。
ローワン:投石は格闘判定で投げるんだっけ? 判定ダイス1個と技量ダイス2個だけど、難易度18なんだよな。振ります……失敗です。
ロイド:エルフの矢だけ当たった。最初の矢で気づかれたんでしょうね。
フィンドール:「まだ敵は混乱している。今のうちに突っ込め!」
ロイド:「おー!」
イルムル:「弓なぞ要らん! 斧一本で良い!」と弓を捨てて突っ込んでいきます。これで荷重点が下がる。
ローワン:「突っ込め!」
LM/オーク:「うぉおお!ぶっ殺せええ!」
LM:では戦闘ラウンドに移ります。
【1ラウンド目】
ルール説明:10
戦闘では各ラウンド、どの位置で戦いに参加するかを選び、その位置によってボーナスやペナルティを受けたり、特別な行動ができるようになったりします。
ロイド:前衛はロイドとイルムルで。
ローワン:中衛にローワンが入ります。
ロイド:で、後衛にフィンドールですね。
フィンドール:はい。敵の数のほうが多いので、一体ずつ、近接戦闘系のPLに配置する感じですかね。
LM:では、前衛の二人に一体ずつ、中衛に一人と。もう一体は前衛のどっちにしようかな。ではロイドに。後は弓兵の二体が後衛にいます。
LM/オーク:「そこのチビから先に倒してやろう」
ローワン:弱そうな所から狙っていく!
ロイド:「こういう困難にも立ち向かう勇気が必要だって、ビルボが言ってた!」
ローワン:ビルボ、いろんなこと教えてくれるな。
フィンドール:多分、ビルボのことがちらついたんやろうな。あれ、でもビルボ中衛、なんなら後衛じゃ……。
ロイド:多分ビルボが話すときは、いい感じに盛って話してたんですよ。
LM/オーク:さて「うぉー、ぶっ殺してやらー!」とオークが吠えてます。
フィンドール:では、プレイヤーから先で判定しますか。
ロイド:ホビットから行きます! さっきフィンドールが撃ったオークを狙います。〈剣術〉がランク2で、前衛なので、技量ダイスを追加で1個得ます。判定ダイス1個と技量ダイス3個で、目標値が16に敵の回避修正値が+1なので17になりますね。とりゃ(ダイスを振る)……ガンダルフのルーンが出ているので痛打発生!
LM:痛打は良い一撃が入るかもしれない命中だね。使用している武器の致傷値を参照して、攻撃された人が防御値で判定をして、失敗すると負傷状態となってしまう。使っている武器は?
ロイド:小剣です、致傷値は16ですね。
LM:つまり、オークが目標値16で防御値の判定をすることになると。あ、そうだ、敵の場合は技能ダイスのサウロンの目が自動成功で、ガンダルフ・ルーンを出目0にします。
ロイド:確かに、意味的にはそっちのほうが合ってますね。
ルール説明:11
選択ルールで悪役はガンダルフ・ルーンとサウロンの目の効果入れ替えても良いと書いてあります。雰囲気的には敵の攻撃でサウロンの目が出た時にプレイヤーに良くないことが起きる方が、雰囲気が出るでしょう。
ただし、混乱するなら採用しない方が良いでしょうね。
LM:んじゃダイスを振って……
ロイド:成功度アイコン2個!? ……だけど判定ダイスはガンダルフ・ルーンだ!
LM:敵はガンダルフ・ルーンは出目0扱いだから失敗ですね、残念。
ロイド:やった! では、下から顎を刺します。
LM:それで負傷状態になります、そしてオークの兵士は負傷状態の際のことは何も書いていないため、「げふぅっ、ぐわぁああ」と黒い血を吐いて倒れます。
ルール説明:12
攻撃時の判定ダイスで10かガンダルフのルーンの目が出た場合、その攻撃は痛打を与えます。
痛打を受けた側は防御判定を行わねばならず、失敗すると負傷状態となって、特にシナリオ上重要ではない悪役は負傷状態になるだけで死亡します。
LM/オーク:「やべぇぞ! あのチビ強ぇぞ!」
フィンドール:「なかなかやるな」と言っておきます。
イルムル:「やるじゃぁないか!」
LM:では、次。
イルムル:はい、じゃあ自分が行きます。横でロイドが一発で仕留めてるのを見つつ目の前のオークの兵士を〈斧術〉で攻撃。前衛の分のダイスを足して技量ダイスは4個で「早くお前らの大将を出しな!」……判定は2、3、3、4。スカッ。
LM:では、斧が地面を叩く。ガンッ!
ロイド:「姉さん! しっかりしてください!」
フィンドール:「どうした、ドワーフよりもホビットの方が戦闘が得意なのか?」
イルムル:「うるさい! エルフは黙って弓でも撃ってろ!」
LM:では、次に中衛のローワンお願いします。
ローワン:はい、では中衛の特殊な戦闘行動である〈鼓舞〉をします。「ホビットがオークを倒したぞ! 続け続けー!」と。〈鼓舞〉は出目15で成功、前衛は次のラウンドで攻撃判定に技量ダイスを追加で1個得ます。
ロイド:ありがたい。
LM:では後衛の番です。
フィンドール:弓を撃ちます、対象はローワンに接敵してるやつで。「良い鼓舞だ! このまま押し切れるだろう」と言って、弓を撃ちます。回避修正値+1まで命中して4点です。
LM/オーク:「ぐえー、痛ええ!」
フィンドール:「敵が怯んだ! 一気に攻めるぞ!」
一同:「うぉおお!」
【2ラウンド目】
LM:奇襲攻撃だったので、そのまま2ラウンド目に移ります。敵が動いてない状態で一体倒れている、辛い。
ロイド:じゃあ、前衛の残った一体を〈剣術〉で攻撃……やった! 成功して、また痛打が発生! 致傷値はさっきと同じく16です。
LM:OK、16ね……判定ダイスでサウロンの目! 敵はサウロンの目で自動成功になるので、負傷状態にはならず通常の3点ダメージを受けます。
ロイド:うぉー、残念……ではオークの脛を斬ります。
LM:危ない所だった。ざっくりと脚から流血する。
イルムル:では、次に自分が〈斧術〉で攻撃を。さっき外した相手に対して、今度こそは逃さん!
フィンドール:判定ダイスが1で、出目の合計は13。失敗してますね。
イルムル:「くぅっ……二日酔いかこれは?」
ロイド:「姉さん! 何やってんですか!」
フィンドール:「掛ける言葉がない」
イルムル:「やめろぉ! 見るなぁ!」……こんなに戦闘特化してんのに、なんで。
ローワン:され、私はどうしよう。〈鼓舞〉は何度でもできるし、今回も〈鼓舞〉で良い?
LM:ローワンはあまり殴るの向いてるキャラクターではないよね。
ローワン:そうなんですよ、全然向いてないんですよ。やっぱ〈鼓舞〉したほうが良いか、みんなを〈鼓舞〉します。「ロイド、良い調子だ!」
イルムル:「あたいはどうしたー!!!!」
ローワン:「イルムル、頑張れ!! 当たる当たる! 絶対当たるから!」
イルムル:「くそっ、当ててやる!」
ローワン:判定ダイス2個と技量ダイス2個で振ります。さっきもギリギリ成功だったんだよな……出目11、〈鼓舞〉失敗!
ロイド:姉さんの方に刺さらなかったんだろうな。
イルムル:悲しんでます。
フィンドール:えーっと、私の番。ローワンにオークが迫ってきているので、そちらを希望を1点消費して撃ちます。あ、出目13、失敗している。
ロイド:ホビットしか攻撃できていない!
ローワン:2ラウンド使ってなんで一体しか減ってないんですか?!
LM:まぁ、敵弱くはないんで、減ってないのはそんなもんって気がするけど。ただ、あんまりダメージが蓄積されてないのが厳しいですね。
ロイド:4点与えた奴と3点与えた奴かな?
LM/オーク:そうですね。さて、では敵の番。眼の前に居るやつにそのまま殴っていきますよ。能力レベルが3、曲剣のランクが3で、目標値は16。PLの希望点の代わりに敵が有する憎悪点を使って、攻撃判定の技量ダイスを1個増やします。狙うのは眼の前にいるロイド。「くたばれぇ! 兄者の敵ぃ!」……出目は18だね。
ロイド:こっちは回避値が17、敏捷で更に1上がっていて、回避修正値が+1。なので目標値は19です。
LM:ならオークの剣は当たらない。
ロイド:横薙ぎに振り回された曲剣を、ホビットの小ささを活かして下に伏せて避けます。
LM:続いて同じようにイルムルへ攻撃。
イルムル:「掛かってこい!」スカしただけだけど。
LM:「うおお!ぶっ殺してやらぁ!」あ、判定ダイスがサウロンの目、さらに成功度1。
ローワン:うぁああ!!! 強い強い!
イルムル:ちょっと……。
ロイド:姉さん可哀想!
LM:敵側でサウロンの目が出たので痛打が発生、イルムルは防御判定して下さい。
イルムル:はい、じゃあ鎧と兜で技量ダイスを5個振れるので……
ロイド:5個!? 今、さらっとすごいこと言いませんでした?!
イルムル:行きます……出目は22! 助かってる? 目標値聞いてなかった!
LM:目標値16なんで大丈夫です、負傷状態にはなりません。
イルムル:あー、良かった。
LM:では通常の命中で、ダメージは3点ですが、成功度1があるので重撃として更に3点ダメージを追加ですね。
ルール説明:13
攻撃が命中した時に成功度アイコンが出ていた場合、それを1つ消費するごとに特殊効果を宣言できます。重撃はその一つで【体力】点分の(悪役の場合は能力レベル分の)追加ダメージを与えられます。
イルムル:「くっ、なかなかやるようじゃないか」
LM:まぁ、敵の攻撃を体で受けて行くのもドワーフっぽいですよね。では次は中衛のローワンに攻撃を。
ローワン:倒れるかもしれん……回避値は16です。
LM/オーク:さっきと同じく、憎悪点を使ってダイス1個増やして「うぉおお!くたばれぇ!」と、命中して成功度も1ですね。
ロイド:ああ……リーダー……
LM:では重撃が発生し、3点+3点で6点のダメージです。
ローワン:えっと、耐久点の最大値が22で、6点ダメージ受けて今16点。疲労してしまう……どうしようかな。
LM:武器を捨てて真ん中でエールだけを送る人になるか。
ローワン:もう、それしか無いんですよね。剣は腰に差したまま槍を投げ捨てます!
LM:次が後衛の弓兵で、誰を狙うか。でもどう考えても一番ヤバいの、ここのロイドなんですよね。
イルムル:ダメージも倒してるのもその人なんですよねぇ。
LM:一人はロイドを狙って、一人は後衛同士ということでフィンドール狙いにしましょう。
イルムル:おかしいなぁ、なんでダメージ出てないんだろうなぁ。
LM:同じく憎悪点を使って判定します、「ぶっ倒せぇ!」技量ダイス4個もあるぞ。
ロイド:はい。回避値は19ですね
LM:出目が8、5、4、4なので命中。ダメージは3点。
ロイド:じゃあ耐久点19、荷重点は全然超えないので大丈夫です。
LM:じゃあ、普通にドスッ! と矢が命中します。
ロイド:「痛っ!」
イルムル:「おい! こっちを狙え!」
LM:では続いてフィンドールを……出目20だね。
フィンドール:回避値越えてるんで命中です。
LM:はい、こちらもダメージ3点。
フィンドール:3点ならギリギリ大丈夫、まだ動けるが、あと1点で疲労状態か。
LM:荷重点のルール結構しんどい。このゲーム、ほんとに旅してるから疲労点が厳しくなるんですよね。旅して疲れて動けない……ってなる。
ロイド:じゃあこれで一周して、次の戦闘ラウンドですかね。
【3ラウンド目】
LM:はい、次のラウンドです。
ロイド:前のターンの〈鼓舞〉が失敗してたから、希望を消費して判定ダイス1個と技量ダイス4個で振ります。出目が酷い、多分撃たれてショックを受けてました。「矢を撃つなんて酷いじゃないですか!」
フィンドール:形勢が不利だ。殴り返せてない。
イルムル:ではイルムル行動します。「このままじゃダメだ! あたしはお前らの弱点はよく知っているはずだ!」希望を消費し、仇敵知識:オークもあるので高揚状態で2個得ます。前衛による1個と、技能の3個で……技量ダイスを6個も振れることができる……! 当たる!
ロイド:頑張ってください姉さん!
イルムル:当たるんだよぉ! 出目28!
LM:それは余裕で命中。
イルムル:よし! さらに判定ダイスの出目10なので痛打! 致傷値18です、くらえええ!
LM:防御判定は……失敗! オークは倒れた。
イルムル:「脆い所なんて知ってるんだよぉ!」
LM:真っ二つだ。当たればデカい。
フィンドール:「ようやく調子が出てきたか」
ロイド:「そうだ、こんな傷ぐらいで落ち込んでなんていられない。僕も頑張らないと」ローワンはどうするんですか。
ローワン:普通に〈鼓舞〉した方が良いかな? 剣持ったところで目の前の敵が倒せる気がしない。
ロイド:ローワンの耐久値って、今16点?
ローワン:そう、16点。多分すぐ倒されはしないんですけど、疲労状態にならないようにするには剣も捨てなくちゃいけない。〈剣術〉ランクは1。
フィンドール:それは希望を消費しても当たらないと思う。
ローワン:当たらないですよね……やはり〈鼓舞〉しましょう。「ロイドは目の前の敵に集中しろ! イルムルは空いた敵を倒すんだ!」と、前衛に指示を。指導力で高揚状態に入って、希望を消費して追加の技量ダイスを得て振ります。
ロイド:じゃぶじゃぶ振る。
ローワン:〈鼓舞〉判定は成功! 成功度アイコンも出ているので、次のラウンドまで前衛だけじゃなく中衛も技量ダイスが1個増えます。
LM:次は俺も殴る! って意気込みか。では後衛の射撃をどうぞ。
フィンドール:はい。では荷重点がキツいので副次的アクションで兜を脱ぎ捨て、ローワンが斬りつけられたのを見て「一旦下がれ!」と言って、ここでエルフの絶技を使用して魔法的成功にします。自動成功になって4点ダメージを入れます。成功度アイコンは出ない。
ルール説明:14
各キャラクターはその出身である文化圏に応じて特別な力を得ている。例えばドワーフのイルムルであれば重い鎧を軽々と着られる(荷重点が半減)し、エルフのフィンドールであれば希望点を1点消費すれば任意の判定を魔法的成功(特殊な自動成功)にできる。
フィンドール:スパン! と頭を撃ち抜きます。
LM:だが、まだ2発なんでね。
フィンドール:まじか、耐久値8点ぐらいだと思ってたが。
LM:もう1発ぐらいですかね、そんな感じに見える。ではイルムルの前のオークは倒れたので、ロイドの前のオークの前衛。憎悪を消費してダイスを増やして「うおー、ぶっ殺せぇ!」と、出目は17。
ロイド:回避値が修正加えて19なので当たりません。
LM:ぬん、出目が悪いな。まぁ確率的には2回に1回で、半々くらいか。次はローワンの前のオーク、憎悪点を使って出目が19、そして成功度アイコンが2個!
ローワン:回避値は16です。命中しちゃいました!
LM:では成功度2点分を重撃にするので、合計9点のダメージです。「死ねや、ゴルルァ!」と曲剣がローワンに直撃!
イルムル:「ローワーーーン!」
ロイド:眼の前に敵がいるのに〈鼓舞〉ばっかしてるから!
ローワン:耐久値が残り7点。鎧の荷重点も超えたので、正真正銘の疲労状態です。仲間を〈鼓舞〉するだけして、疲れ果てた。
ロイド:次で終わらせないと本当に危ない!
ローワン:回避値が低いのに、眼の前の敵を倒さなかったのが良くなかったな……
LM:次はオークの弓兵。このターン頑張ってたのは……イルムルだ、イルムルに矢を打ちますよ。
イルムル:では、斧と盾でカンカン打ち鳴らしていましょう。「さぁ、かかって来なぁ!」回避値は16。
LM:こちらも憎悪点を消費して……ああ、出目が弱い。1、1、1、2、3で合計8、失敗!
イルムル:「全く届いてないぞぉ!」
LM:もう1体はダイスでランダムに狙いを決めよう……またイルムルだ!
イルムル:「こいや、こいや!」
LM:「喰らえ!」 お、こっちは出目が良い。判定ダイスで痛打が発生しつつ、成功度アイコンも1つ。
イルムル:防御判定はダイス5個ですね。あ、判定ダイスでガンダルフ・ルーン、成功度アイコンも出てる。
LM:硬い! 痛打してるけど負傷状態にできないな。ダメージは3点+3点で6点。
イルムル:耐久値が減って、まだ、荷重点は1点大丈夫。ギリギリだけど。
LM:やはりドワーフはタフだね。ではこれで3ラウンド目終了。そしてここで、議会で説得に成功していたことによる野伏の助力が効果を発揮します。君たちの背後から頭上を越えるように矢が放たれ、後衛で弓を撃ってるオーク達がバタバタと倒れる……という形でオークの弓兵が全員倒されます。後は前衛のオーク2体かな?
ローワン:2体ですね。
【4ラウンド目】
イルムル:前のラウンドで目の前のオークは倒したので、ローワンを切ったオークの所まで行きます。
ロイド:ロイドいきます。〈剣術〉で、確実に倒したいので希望を1点消費して……痛打は発生しないですが、出目24で命中。成功度アイコンも1つあるので重撃で、3点+4点で7点ダメージ!
LM:がっつり来た。残り耐久点が紐(細長い一本線、つまり1点の意味)って感じですね。
ロイド:なるほど。では木とかに登って、上から体重を乗せて突き刺したということで。
イルムル:次はあたしが。「倒す! 絶対に倒す!」獰猛の特徴を持ってるし、そもそもお前の情報を知っているんだこっちは。高揚状態で希望を消費します。技量ダイス合計7個で出目39! 成功度アイコンは1つなので、重撃の追加ダメージで合計12点ダメージです。
LM:12点! それだけでオーク兵は倒れるね。
ロイド:きっと、ドワーフの力って最初からこれぐらいあったんだろうな。
イルムル:当てればこんぐらいは出るんだ! では、横薙ぎにズバっと叩き斬ります。
LM:後はロイドの前の一体が残ってますかね。
ロイド:10点与えているので、多分あと弓1回当たれば終わるかな。
フィンドール:ローワンはどうする?。
ローワン:戦闘の際の疲労状態は、技量ダイスの1、2、3が0になるんですよね。
ロイド:中衛ならさっきの〈鼓舞〉の効果は受けられる?
ローワン:受けられますね。じゃあ希望を消費して……まぁ外せば外すで、次みたいな感じで。「私もオークを倒す!」って言いながら、こう、前に出たいんですけど。忠実の特徴に当てはまりますか?
LM:良いでしょう。君の目標のオークを倒すということで。
ローワン:では忠実の高揚状態に入って、希望を消費しつつ目標値19で振ります。出たら面白い、出なくても面白い……5、4、6で出目15。疲労状態で1~3の目は無視するので足りない!
フィンドール:では、希望を消費してエルフの絶技を。ローワンは剣で切りかかったんでしたっけ?
ローワン:はい。
フィンドール:じゃあ力及ばなかった所へ「最後までよく立っていた、ローワン。人間にしては天晴れだ」と言いつつ弓を撃って、自動成功で4点ダメージを与えます。
LM:ではその一撃でオークは倒れます。さて、ちょうど全員倒れてしまったな。じゃあ次のラウンドというより、特殊なエクストララウンドという感じで……
その矢は木々の間を、友の体をすり抜けるかのように飛翔した。そしてそれは吸い込まれるようにオークの右の瞳に刺さり、そのオークは悲鳴を上げることもなく絶命する。
まさにエルフがその長い生を一点に注いだ絶技であった。
だが戦いがまだ終わったわけではない。一行は野伏らの助力も得て、オークどもを斬り伏せ、貫いてきた。それは敵の本陣にいる一匹の巨大なオークを倒さんがためである。
君たちの視線の先で、オークどもを指揮しつつ大剣を振って野伏らを寄せ付けなかった、並のオークに倍する巨漢がこちらを向いた。
その肌は病的に白い。だが後頭部から背筋、肩にかけては鈍色に光り輝いている。身体に埋め込まれた無数の鋼の鋲がまるで鬣のようにその身を飾っているのだった。やつこそ、鋼の鬣に他なるまい。
【エクストララウンド】
LM/鋼の鬣:では、ズシンズシンと足音が鳴り響き、「ウオー!! 貴様ら! 俺の部下をやりやがったのか!」という声が聞こえてくる。
イルムル:「……貴様!」
ローワン:「お前は!」
フィンドール:「アイツが……!」
LM/鋼の鬣:「そう、鋼の鬣のサッケンゴル様とは、俺のことよぉ!」と叫び、野伏たちの放つ矢を薙ぎ払いながら生き残ってるオーク達に「者どもぉ! 東へ向かって走れぇ!」と撤退を宣言します。
イルムル:自分はもう関係無く、突っ込みます。「鋼の鬣! 爺さんたちの仇!」
フィンドール:「無闇に突っ込むな! そいつは今までのオークと違う!」
ロイド:「でも、ここで勇気を出さなきゃ、いつ出すんですか!」一緒に前に走っていく!
LM:鋼の鬣は立ち塞がる君たちに、「どけぇ!」とバカデカい剣を振り下ろしてきます。
ロイド:なるほど。ローワン、どこにいる?
ローワン:前衛にいると流石に死んじゃうんで、中衛に行きたいんですけど。仇なのに中衛にいるんか……という気がちょっとする。
イルムル:「ローワン、任せろ! あたいが仕留めてやる!」
ローワン:「頼む! せめて一撃でも!」
イルムル:「最後の一撃はお前にもくれてやるよ!」
LM:では、オーク側は撤退を始めているという状況なので1ラウンドだけ戦いましょう。プレイヤーが先攻なんで「掛かってこい!」って感じですね。ちなみに、鋼の鬣のサッケンゴルの回避修正は+3です。
ローワン:あ、これは強い。
ロイド:一応、さっきと同じ順で行きますかね。
LM:では、バカデカいのに蛇のような身のこなしをします。ここで憎悪点を消費することで、君たちの判定がすべて不利になります。
ローワン:うぇええ!?
ロイド:なるほどぉ、では判定ダイス2個で悪い方ですね。
イルムル:〈斧術〉とか〈剣術〉とかで不利なんてあるんだ……
ロイド:どうせ当たらんやろうけど、振ります……出目18、1足りないですね。不利じゃなければ……!
イルムル:では、自分は荷重のこともあるのでまず盾を捨てます。どうせ回避修正値あったとしても避けられないと思うので、斧を両手で持ちます。仇敵知識もあるので希望を消費して「うおー! 爺さんたちの仇! どりゃあ!」……よし、出目24で当たりました。成功度アイコン1つで重撃を入れて、ダメージは13点です。「喰らえぇええ!」
LM/鋼の鬣:じゃあ、腹のあたりに斧が叩きつけられて黒い血を流しながらも、全然元気そうにはしてますね。「ぐおっ…… 貴様ぁ!」
イルムル:「やはり! このデカブツ、硬い!」
ローワン:あ、中衛することがない……まぁさっき捨てた大槍を拾って、撤退をするべきかどうか見極めるぐらいで、攻撃はせずにいます。
フィンドール:エルフ行きます。「お前たち、そんな巨大なオークに今は敵わない。復讐に飲まれるな!」
イルムル:「知らねぇ! こいつは、ここで倒す!」
ロイド:「姉さん無茶です!」 ……さっき普通のオークにだってあんなに苦戦したのに。
イルムル:やめろ。それは言うな!
フィンドール:「私が足止めする、その隙に退くんだ!」 と言って弓を打ちます。希望は消費せず……出目が低い、失敗。
LM:では鋼の鬣は、大剣を振り回して矢を叩き落とし、前衛にいるイルムルに……おや、手元の分だと振るダイスが足りない。
ロイド:振るダイスが足りない!?
イルムル:そんなに振られたらヤバい(笑)。しかし、「来い!」と構えます。
LM/鋼の鬣:では攻撃しますね、「うぉー、死ねぇ!」出目27、成功度アイコン1つで命中。ダメージは3点に重撃の分で7点足して合計10点ですね。
イルムル:耐久値残り6点になりました、今の一撃でぶっ飛ばされます。
フィンドール:残り6点!?
LM:今の攻撃で吹き飛ばして、本当は2回アクションがあってもう一回殴れるんですが……今回はその行動を撤退の合図に使っているので、そのまま手下と共に撤退していきます。
ロイド:吹っ飛ばされたイルムルを見て、怖気づいて一歩下がったことにしよう。
イルムル:逃げる素振りを見せた所に兜を外して「オークめ、この顔を覚えておくんだな!」
LM/鋼の鬣:「いいだろう、その顔覚えたぞ!」と叫びながら鋼の鬣率いるオークの軍勢は撤退して行きます。
ロイド:お互い一撃ずつ入れている。
ローワン:「イルムル、大丈夫か! 結局俺より酷い傷を受けているじゃないか!」
ロイド:「ローワンも、ふたりとも今すぐ治療しないと!」
LM:という感じで、ここで戦闘終了です。

君たちも、野伏たちも無傷ではない。ただ、それよりも遥かに多いオークたちに傷を負わせ、倒すことはできた。フォルンオスト北の木立は赤と、それより遥かに多い黒き血に染まっている。
だが、その首魁たる鋼の鬣は生き残ったオークらの半数を引き連れ東へと消えていったのであった。野伏たちを率いるヒアルインが君たちの元へやってきて問う。
「無事かね」
ローワン:「まぁ、命は」
LM/ヒアルイン:「命だけは救ったか。互いに」彼もまた黒い返り血と自らの赤い血で汚れてはいる。「まぁ、生きているだけ良かったと祝おう。さて、奇妙なる旅の一味よ。汝らの覚悟と腕前はこのヒアルインが確認した」とヒアルインは荒野に荒々しく刻印された足跡を見て、そして東の方へと視線を見やる。オーク共が逃げた先を。「お前たち、あのオーク、鋼の鬣をまだ追うのか。あれの強さは、狡猾さは異常だ」
フィンドール:「あぁ、だが放っておく訳にはいかない」
イルムル:「そんなの当たり前だ」
ローワン:「一度態勢を立て直す必要はあれど、追うことはやめないでしょう」
ロイド:じゃあ、ホビットだけは黙っておこう。勇気を出して自分も追うと言いたいのに、オークの怖さを知ってしまって言葉が出てこない。でも、まだ冒険を諦めて帰る気にもなれないでいます。
イルムル:「また、一つ傷が増えたんだ、絶対に仕留めてやるさ!」
LM/ヒアルイン:「そうか、苦難の、そして困難の道を選ぶか。我らは本来なら、アンヌーミナスを守る使命を受けておる。その命を放棄するわけにはいけないのだ。だが、あれを放置するわけにはいけないのもまた事実。ふん、話し合いの場でも言ったが、我ら野伏の族長たるアラゴルン殿は遍歴の旅の途上。南方にて戦っているのは知っているが、その場所は分からない。ただ、もし汝らが野伏の助力や、他の大いなる方々の助力を得たいのであれば、ギルライン様を訪ねてはどうか? 当代の族長、アラゴルンのご母堂にして先代族長の奥方であった方だ。彼女は『裂け谷』に身を寄せている。行ってみるかね?」
ローワン:「どう思う?」
フィンドール:「あぁ、裂け谷には私の同胞もたくさんいる。彼らの助力も仰げるなら」
ローワン:「ではお言葉に甘えて、我々は裂け谷に向かいます」
LM/ヒアルイン:「行ってみるか。では、ヨネスを案内につけよう。いずれにせよ、こちらの状況をギルライン様に伝えねばならぬからな。書簡を用意しよう、しばし待て」と言って、彼は一旦その場から離れる。
ヨネスは君たちの横に音もなく近づくと、被っていたフードを落とした。黒き返り血の飛沫が彼女の頬やマントを汚している。彼女は何気なく手袋の甲で頬を擦り、そして顔が血で汚れたのに気づき、美しき眉をひそめた。そして言葉少なげにポツリと言う。
「あー……よろしく」
ローワン:「こちらこそ」
イルムル:「あぁ、よろしく頼む」
こうして、一行の旅は遥か東へ、南へと続くことになる。彼らの前に広がるのは、彼方まで続く平原、そして蒼天の下に美しくも危険な霧ふり山脈が横たわるのが見える。彼らの旅の終着点に待ち受けるのは、詩人の歌う勲しか、名誉無き復讐か、あるいは汚れた刃による非業の死か。
運命は秘石パランティールをもってしても見通すことはできぬ。だが、一歩を踏み出す者のみが、運命をその手に引き寄せることができるのだ。
~指輪物語TRPG第1話『さびし野を行く冒険者たち』 終了~

………
……
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あとがき
ホビージャパンに勤めている大学の後輩から「ただのさん、指輪物語TRPGのリプレイ執筆しませんか」という話を最初に貰ったとき、私の心に浮かんだ言葉を一言で表現すればそれは喜びではなく「マジか」というものであった。
幼い頃よりRPGやファンタジーのゲームを愛し、今も異世界を舞台とした小説を書いている自分にとって、指輪物語という現代ファンタジーの祖にして頂点たる作品のほんの片隅の片隅にでも関わることができるというのは、光栄である以上に驚愕である。
さて、私が書くことになったのは『一つの指輪:指輪物語TRPG』の日本語版の最初の公式リプレイである。最初ということはスタンダードが求められるということだ。
このリプレイを読んだ読者たちが、「ああ、面白そうだな」と思ってくれるのがまずは大切であるが、「こうやってプレイすれば良いんだな」「これなら僕にもできそうだな」と思ってくれる必要がある。
妙に凝って複雑だったりしてはいけないし、どれほどコミカルで面白くても指輪物語の雰囲気から大きく逸脱してはならないだろう。
ああ、これはもちろんあなたたちの卓が、あなたたちの紡ぐ物語がそうであってはいけないという意味ではない。TRPGとは自由であるべきだ。
あなたたちの紡ぐ物語ではガンダルフとバルログが肩を組んでエルフの森を焼き払うかもしれないし、それは(卓の皆が楽しめるなら)構わないのだ。
ただそれを公式の初回リプレイでやってはいかんだろというだけの話である。分かるだろう?
では指輪物語のスタンダードとは何か。
個人的にはやはり『長き苦難の旅』にあると思う。
主人公であるホビットの青年が僅かな旅の仲間と共に、暗黒の大軍勢との戦争を背景に冥王の本拠地たる滅びの山に指輪を捨てに行くのだ。絶えぬ疲労と指輪の誘惑に耐えつつ、精神を、正気を、希望を失いながらも一歩ずつ火山の火口に向けて。
これは指輪物語TRPGのシステムにも反映されている。
旅で疲労点が溜まっていくルール、戦いなどで希望が消費されていくルールなどだ。
これらはセッションとセッションの間で完全には回復しない。
長く苦しい旅の間に疲労は蓄積し、希望は失われていく。それでも主人公たちは暗黒の軍勢や指輪の誘惑と立ち向かい続けるのだ。
これがこのゲームの提示する魅力であると思う。
一方、逆説的に言えばこのゲームシステムはワンオフ、一度きりのセッションには全く向いていない。
しかし今回のリプレイは(もしかしたら好評なら続きがあるかもしれないが)ワンオフである。うーん。
もしあなたたちがワンオフや全2話くらいのショートキャンペーンで指輪物語TRPGをプレイするのであれば、例えばシステム的には使用できる希望点の量を制限するなどのハウスルールを設定すべきであろう。
ただ、それはあくまで表面的な話である。大切なのは長い物語をかけて紡ぐべき満足を、感動を1話のセッションからどう引き出すべきか。
いや、それは当然無理な話だ。そんなことはできない。ただ、その感動に向けて、長い物語の完成に向けて踏み出すべき第一歩、その触りの部分で「ああ、この物語は面白そうだぞ」とプレイヤーやリプレイの読者に思わせる触りの部分をきちっと描くこと。
それが指輪物語のワンオフのセッションに大切なのだ。
つまり、「続きやりたい(読みたい)っすね」と言わせることだ。それがたとえコンベンションの一期一会の関係であっても。
つまりワンオフであろうと、このシナリオの続きは決して行えないと分かっていても、ロングキャンペーンの1話としての完成度の高い物語を紡げ。
その心意気でプレイすべきなのだ。
では指輪物語TRPGの1話に相応しいシナリオとは、あるいは必要なシーンとは何だろうか。
指輪物語のスタンダードは『長き苦難の旅』だと言った。もちろん、旅のルールは使うべきだ。だがたかが一度のセッションで『長き苦難の旅』が表現できるか?
答えは当然ノーである。
では何を描くか。これはルールブックには書いてないことだ。でも指輪物語を読んだ読者であれば絶対にわかってくれることでもある。
第1話や序盤でロアマスターが書くべきことは2つある。
1つは世界の広さを描くこと。それは『長き苦難の旅』の前提であり予兆である。
もう1つは、プレイヤーたちが『護るべき世界』の美しさや温かさを描くべきだ。
そう、それは例えばホビット庄の天井の低くて落ち着く部屋であり、暖炉の炎であり、美味しいごちそうであり、温かい交流である。
キャンペーンの中で『護るべき世界』は折に触れて何度も描写すべきだ。エルフの森のあるいは女王の美しさでも良い。トム・ボンバディルや川の娘のもてなしでも、踊る小馬亭の食事でも良い。朝焼けの草原でも良い。後に偉大なる王となる者の横顔でも良い。
でも第1話では特にそれが必要だ。
なぜ主人公たちが『長き苦難の旅』に出るのか。それは主人公たちが苦難の旅に出なくては『護るべき世界』が失われてしまうことを知っているからである。
まずは『護るべき世界』の描写、そしてそれを守ろうとする『決心』。
そしてこれから始まる『長き苦難の旅』の『予兆』。
ちょっと欲張りではあるかもしれないが、ここまで描ければ1話としては完璧ではないかと思う。
そう、『長き苦難の旅』の果てに「さあ、戻ってきただよ」と言うために。
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執筆者
ξ˚⊿˚)ξ ただのぎょー
『小説家になろう』での執筆をつづけ、昨年8月に商業デビューした新鋭小説家。
物語の舞台となる世界の文化や、そこに生きる人々の各階級の流儀や風習などの描写の緻密さに定評がある。
代表作品
『モブ令嬢テサシア・ノーザランは理想の恋を追い求めない。』
『追放された公爵令嬢、ヴィルヘルミーナが幸せになるまで。』(上)(下)
『朱太后秘録1 私が妃だなんて聞いてませんが! 』

