トールキン研究を手がける高橋勇教授に、「指輪物語」関連の質問に直接お答えいただく企画を開催いたします!
慶応義塾大学の高橋教授は英文学の専門家であり、『指輪物語TRPG』のセッション配信にもご出演いただきました。
皆さんから寄せられたご質問に、配信を実施して教授から回答していただく予定です。
質問の例と、高橋教授による回答を以下に掲載します。
◆◆◆
Q1. 『指輪物語TRPG』でドワーフのキャラクターをやってみたいです。ドワーフの女性ってヒゲ生えてるんですか?
A1. この二つの質問がどれくらい関連しているのか分かりませんけども(笑)。まずドワーフを理解するためには、以前に書いたようなエルフとの確執を考える必要があります。その上で、それを上回るオークに対する憎悪(映画に出てきた「アゾグ」とはそれはそれは面倒な関係があります)、そして何より、ドワーフの七つの指輪をめぐるサウロンとの抗争は重要です。エルフはむろん嫌いなのですが、かといって闇の勢力に与することはありません。彼らは精神的にも肉体的にも強靭であったため、そう簡単にはサウロンの意思に従いませんでしたが、しかしもともと持っている鉱石や金への執着は強くなり、さまざまな問題を生じさせました。
ドワーフの女性に関しては、「追補編」によれば唯一名前が残っているのはスラーイン2世の娘ディースのみだそうです。彼女はかの「樫の盾」ソーリンの妹、フィーリとキーリの母親です。ギムリによれば、ドワーフの女性は男性の約三分の一ほどしかおらず、また皆がみな結婚するわけでもないので、たいへん子どもが生まれにくいとのこと。
そして見た目ですが、男性と見分けがほとんどつかない…とのことなので、髭も生えているのでしょうね。結果として「ドワーフに女性はいない」「石から生まれてくるのだ」という俗説が出ていた模様(ギムリが言ってましたね)。映像上の演出では髭の「長さ」などで区別したりもしていますが、これは実に現代的なお作法なので、私個人としては「まるで同じ」という解釈を推したいと思います。異人種からしたら男女差なんて一見したって分からないでしょうし。
Q2. 『指輪物語TRPG』ルールブック212ページには「後援者」としてアラゴルンのお母さんであるギルラエンが載っていますが、映画には出て来なかったのでどういう人か詳しく知りたいです。どんな人なのでしょうか? どの資料を見ればこの人のことがわかりますか?
A2. とりあえず『最新版 指輪物語』の「追補編」にだいたい書いてあります。名前の意味は「編み込まれた星(ランミラス(おそらくプレアデス星団)とほぼ同意。当時高位の女性によくつけられたシンダール語の名前)」。映画版の『ロード・オブ・ザ・リング』には裂け谷の彫像として登場します。彼女は第三紀2907年生まれ、夫はアラゴルン2世の父アラソルン2世です。父はディールハエルといって、北方ドゥネダインの血筋。この血筋は「予見」ができるため、はじめアラソルンの早世を見通したディールハエルは彼とギルラインの結婚に反対しますが、ディールハエルの妻イヴォルウェンは「この結婚から『望み』が生まれる」とまた別の予見をし(むろんエステル(望み)ですね)、二人の結婚を後押ししました。
彼らは2929年に結婚し、2931年にアラゴルンが生まれます。しかし2931年にアラソルンがオークに殺害されて、裂け谷に母子で引き取られ、アラゴルンがドゥネダインの族長となりました。その後あれやこれやがあってアラゴルンがアルウェンと誓いを交わすと、ギルラエンは西方王国の血が絶えることを恐れて(やや)反対しますが、最終的には受け入れて、自らは裂け谷を去り北方野伏のもとへ移って、3007年にこの世を去ります。
アラゴルンとの最期の別れの際に彼女が述べたエルフ語の一言が記録されています。いわく
Ónen i-Estel Edain, ú-chebin estel anim(わたしはドゥネダインに望みを与えた。わたしはわたし自身のためには望みを取って置かなかった。)
夫を失い、息子もよく分からない未来に向けて去っていくのを見送る母。トールキン自身の母親に対する悔恨を読み取ってしまうのは私だけでしょうか。
あと、実はギルラエンはビルボより17歳年下です(笑)。
Q3. 映画『ロード・オブ・ザ・リング』見ました。フロドは最初から滅びの山まで鷲に乗って行けばいいのに、なんでそうしなかったんですか?
A3. お話の都合上……と言えばまあそうなんですけど、まず確実なのはサウロンの軍勢は鴉などを使って上空偵察をしていたから、という理由があります。そして前記と関連しますが、ナズグルも航宙能力を手に入れましたから、裂け谷を出て以降はたぶんめっちゃくちゃ危なかったと思います。大鷲の一族は基本的に情報収集に専念していたという記述もありますね。
もう一つ、裂け谷あたりではグワィヒルと連絡する手段はなさそう。まあガンダルフは助けてもらっていましたが、これが第三紀3018年の九月。彼はそのあと飛蔭で移動、10日くらいの間にサルンの浅瀬に至っているので、彼もまたグワィヒルに運んでもらうという考えはなかった模様。滅びの山にグワィヒルやランドローヴァルが駆け(飛び?)付けられたのは、サウロンの「目」がフロドと指輪に釘づけになっていたから、というのがたぶん一番自然な解釈かと思います。
なお、一度カザド・ドゥームで「肉体を失った」ガンダルフをロスロリエンに運んだのもグワィヒルですが、「この時ガンダルフ全裸では…? ガラドリエルさまの反応は…?」というのが昔の指輪仲間とのネタでした。

◆◆◆
……といった感じで、ゆる~い質問でもかまいません。『指輪物語TRPG』を遊んでいて気になったこと、映画の『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』やドラマの『力の指輪』を見て疑問に思ったことなど、ぜひどしどし質問をお寄せください!
皆さんの質問を集計し、HJ-TRPGチャンネルで3月に配信を行なって、高橋教授から回答していただきます。
◆質問要項◆
以下のあて先にメールで質問をお送りください。
Mail: lordofthering.HJTRPG@gmail.com
もしくは企画告知のX(Twitter)へのリプライでもかまいません。
メールでのお問い合わせの際は、ハンドルネームをお書きください。回答の際に読み上げます。Xでのご質問の場合は、Xのアカウント名を読み上げますのでご了承ください。
締め切り:2月16日(金)23:59まで
※注意点
・すべての質問にお答えできない可能性がございます。
・『指輪物語TRPG』のルールや裁定に関する質問に対しては、編集部で回答できる内容以外はお答えできかねます。

慶応義塾大学の高橋教授は英文学の専門家であり、『指輪物語TRPG』のセッション配信にもご出演いただきました。
皆さんから寄せられたご質問に、配信を実施して教授から回答していただく予定です。
質問の例と、高橋教授による回答を以下に掲載します。
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A1. この二つの質問がどれくらい関連しているのか分かりませんけども(笑)。まずドワーフを理解するためには、以前に書いたようなエルフとの確執を考える必要があります。その上で、それを上回るオークに対する憎悪(映画に出てきた「アゾグ」とはそれはそれは面倒な関係があります)、そして何より、ドワーフの七つの指輪をめぐるサウロンとの抗争は重要です。エルフはむろん嫌いなのですが、かといって闇の勢力に与することはありません。彼らは精神的にも肉体的にも強靭であったため、そう簡単にはサウロンの意思に従いませんでしたが、しかしもともと持っている鉱石や金への執着は強くなり、さまざまな問題を生じさせました。
ドワーフの女性に関しては、「追補編」によれば唯一名前が残っているのはスラーイン2世の娘ディースのみだそうです。彼女はかの「樫の盾」ソーリンの妹、フィーリとキーリの母親です。ギムリによれば、ドワーフの女性は男性の約三分の一ほどしかおらず、また皆がみな結婚するわけでもないので、たいへん子どもが生まれにくいとのこと。
そして見た目ですが、男性と見分けがほとんどつかない…とのことなので、髭も生えているのでしょうね。結果として「ドワーフに女性はいない」「石から生まれてくるのだ」という俗説が出ていた模様(ギムリが言ってましたね)。映像上の演出では髭の「長さ」などで区別したりもしていますが、これは実に現代的なお作法なので、私個人としては「まるで同じ」という解釈を推したいと思います。異人種からしたら男女差なんて一見したって分からないでしょうし。
Q2. 『指輪物語TRPG』ルールブック212ページには「後援者」としてアラゴルンのお母さんであるギルラエンが載っていますが、映画には出て来なかったのでどういう人か詳しく知りたいです。どんな人なのでしょうか? どの資料を見ればこの人のことがわかりますか?
A2. とりあえず『最新版 指輪物語』の「追補編」にだいたい書いてあります。名前の意味は「編み込まれた星(ランミラス(おそらくプレアデス星団)とほぼ同意。当時高位の女性によくつけられたシンダール語の名前)」。映画版の『ロード・オブ・ザ・リング』には裂け谷の彫像として登場します。彼女は第三紀2907年生まれ、夫はアラゴルン2世の父アラソルン2世です。父はディールハエルといって、北方ドゥネダインの血筋。この血筋は「予見」ができるため、はじめアラソルンの早世を見通したディールハエルは彼とギルラインの結婚に反対しますが、ディールハエルの妻イヴォルウェンは「この結婚から『望み』が生まれる」とまた別の予見をし(むろんエステル(望み)ですね)、二人の結婚を後押ししました。
彼らは2929年に結婚し、2931年にアラゴルンが生まれます。しかし2931年にアラソルンがオークに殺害されて、裂け谷に母子で引き取られ、アラゴルンがドゥネダインの族長となりました。その後あれやこれやがあってアラゴルンがアルウェンと誓いを交わすと、ギルラエンは西方王国の血が絶えることを恐れて(やや)反対しますが、最終的には受け入れて、自らは裂け谷を去り北方野伏のもとへ移って、3007年にこの世を去ります。
アラゴルンとの最期の別れの際に彼女が述べたエルフ語の一言が記録されています。いわく
Ónen i-Estel Edain, ú-chebin estel anim(わたしはドゥネダインに望みを与えた。わたしはわたし自身のためには望みを取って置かなかった。)
夫を失い、息子もよく分からない未来に向けて去っていくのを見送る母。トールキン自身の母親に対する悔恨を読み取ってしまうのは私だけでしょうか。
あと、実はギルラエンはビルボより17歳年下です(笑)。
Q3. 映画『ロード・オブ・ザ・リング』見ました。フロドは最初から滅びの山まで鷲に乗って行けばいいのに、なんでそうしなかったんですか?
A3. お話の都合上……と言えばまあそうなんですけど、まず確実なのはサウロンの軍勢は鴉などを使って上空偵察をしていたから、という理由があります。そして前記と関連しますが、ナズグルも航宙能力を手に入れましたから、裂け谷を出て以降はたぶんめっちゃくちゃ危なかったと思います。大鷲の一族は基本的に情報収集に専念していたという記述もありますね。
もう一つ、裂け谷あたりではグワィヒルと連絡する手段はなさそう。まあガンダルフは助けてもらっていましたが、これが第三紀3018年の九月。彼はそのあと飛蔭で移動、10日くらいの間にサルンの浅瀬に至っているので、彼もまたグワィヒルに運んでもらうという考えはなかった模様。滅びの山にグワィヒルやランドローヴァルが駆け(飛び?)付けられたのは、サウロンの「目」がフロドと指輪に釘づけになっていたから、というのがたぶん一番自然な解釈かと思います。
なお、一度カザド・ドゥームで「肉体を失った」ガンダルフをロスロリエンに運んだのもグワィヒルですが、「この時ガンダルフ全裸では…? ガラドリエルさまの反応は…?」というのが昔の指輪仲間とのネタでした。

……といった感じで、ゆる~い質問でもかまいません。『指輪物語TRPG』を遊んでいて気になったこと、映画の『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』やドラマの『力の指輪』を見て疑問に思ったことなど、ぜひどしどし質問をお寄せください!
皆さんの質問を集計し、HJ-TRPGチャンネルで3月に配信を行なって、高橋教授から回答していただきます。
◆質問要項◆
以下のあて先にメールで質問をお送りください。
Mail: lordofthering.HJTRPG@gmail.com
もしくは企画告知のX(Twitter)へのリプライでもかまいません。
メールでのお問い合わせの際は、ハンドルネームをお書きください。回答の際に読み上げます。Xでのご質問の場合は、Xのアカウント名を読み上げますのでご了承ください。
締め切り:2月16日(金)23:59まで
※注意点
・すべての質問にお答えできない可能性がございます。
・『指輪物語TRPG』のルールや裁定に関する質問に対しては、編集部で回答できる内容以外はお答えできかねます。




